【共通テスト】鼻出しマスク不正行為について試験監督ガチ勢が考えてみた

意見

 

 

 共通テストで試験中にマスクから鼻を出し、注意に従わなかったとして不正行為と見做され、失格(成績向無効)になったというニュースを見ました。

 このことについて、少し考えてみます(5年間試験監督をし、リーダーとして本部での試験運営もしていました)。

 

 ボク自身の意見ですが、不正行為とするのは妥当だと考えます。

 試験中の受験生は試験運営、即ち(教室内では)試験監督者に従うことが求められます。試験を受験するということは、それに同意したということです。

 

 まずは今回の試験でのマスクに関するルールについて整理しておきます。           

 共通テストの願書と共に配られる『受験案内』の冊子には、マスクの着用については一切書かれていません。出願後、受験票と共に送られてくる『受験上の注意』には「マスク(予備のマスクを含む。)を持参し、試験場内では常にマスクを正しく着用してください。」と太字で書かれています。これに続けて、「感覚過敏等によりマスクの着用が困難な場合は、「医師の診断書」を提出して受験上の配慮申請を行い、別室での受験を申請する必要があります。(中略)なお、受験上の配慮申請を行わずに試験当日に申し出た場合は、マスクを着用せずに受験することはできないため、追試験の受験を申請してもらうことになります。」とあります。(『受験上の注意』p.5より引用)

 『受験案内』作成時は、新型コロナの感染が落ち着いていた頃だからか、マスクに関する記載はなく、この受験生が出願時にマスクをすることに同意したとは言えないでしょう。マスクの着用が決められていたのであれば、この段階で受験をしない(出願しなかった)のかもしれません(だいぶ強引ですが……)。出願時に聞かされていないルールが出願後に設定された場合、これに従う義務があるのか法的な解釈が欲しいところです。

 それでも、『受験上の注意』が受験者全員に送られ、そこには上記のことが記載されており、かつ「次のことをすると、不正行為となることがあります」の一覧に「キ 試験場において監督者等の指示に従わないこと。」とある以上、逃れることは難しいと思います。個人的にはその受験生の周囲の受験生が一番の被害者だと思います。監督者から7回も注意を受けるのを近くで耳にするのは、必要な対処とは言え妨害でしかないでしょう。因みに、その直前には「カ 試験場において他の受験生の迷惑となる行為をすること。」とあり、周りの受験生が当受験生の鼻出しマスクを指摘していれば、これにも該当します。(『受験上の注意』p.12より引用)

 要するに、「マスクを正しくする」ことは今回の試験に明記されていたので、正しくしていない者に「指示」をすることは当然です。この「指示」は不正行為にカウントされません。そして、この「指示」に従わなかったので、不正行為になります(直ぐに「指示」に従えば全く不正行為になりません)。「マスクを正しくしない」こと自体は不正行為ではなく、「監督者の指示に従わなかった」ことが不正行為な訳です。

 同じカテゴリーとしては、激しく貧乏ゆすりをする受験生に監督者が注意をしても全くやめようとしなければ、「指示に従わなかった」として不正行為になります。今回はそれがマスクだっただけです。

 この受験生を擁護する意見として、口はマスクしていたのだから問題ないというのが見られますが、「正しく」着用とあるので屁理屈でしかありません。彼らの意見だと、鼻だけ、目だけ、なんならおでこにマスクを「着用」しても良いと言うことになります。試験中は話さないからマスクの意味がない、というのも根拠がありません。別室受験も診断書が必要とあるので不可です。ルール(決まり)や前提を疑うことが出来る大人になって欲しい、という恥ずかしい意見もありますが、それならば受験しなければ良いだけですし、それ以前の前提として周囲の受験生が安全かつ公平に受験する環境を破壊してる時点でナンセンスでしょう。

 

 さて、試験監督及び運営の立場として、不正行為を指摘するのはとても大変な作業です。共通テストの試験監督マニュアルは分かりませんが、他の国家試験のマニュアルではその教室の監督者一人が不正行為を発見しても、物的証拠がない限り指摘することは出来ません。必ず複数人で不正行為の疑いのある人を確認し、複数人がマニュアルに乗っている不正行為一覧を参照にした上でこれに該当すると一致して初めて指摘出来ます。試験室を巡回してる監督者が、視界に入った受験生が横を見たのを確認しても指摘は出来ません。それを他の監督者に伝えて、その他の監督者が確認しなければなりません。かなり神経質な作業です。

 特に、不正行為の中でも注意(警告)と失格では厳格に区別されています。前者がイエローカード、後者はレッドカードとすると分かりやすいでしょう。注意は二回で失格になります。大体は、カンニング(横を見る)や試験開始前に問題冊子を開く、試験終了後に解答を続けるなどがこれに当たります。見て分かる通り証拠が確認出来ないものです。これらですら、上記のように複数人の確認が必要です。因みに、監督者の指示に従わないのもこれに当たります。また、各試験時間ごとに警告(イエローカード)はリセットする(毎時間1回まではok)という優しい?試験もあります。失格(レッドカード)は、カンニングペーパーを監督者が押収したり、試験時間内に許可なく教室を出るなど、誰が見てもアウトなやつです。試験にもよりますが失格を指摘する場合はその教室の監督者だけでなく、その会場の責任者を連れてきて確認してから、というのもあります。

 

 飽くまで、これは他の試験についてなので共通テストでは分かりませんが、恐らく似たようなものでしょう。あらゆる試験を担当しましたが、不正行為に関する内容は大体同じことが書いてあります。すると、今回の鼻出しマスクをしていることはその教室内の監督者複数人で確認できるので、直ぐに指示したと思われます。上記の記事によれば、1時間目の社会の試験時間中から鼻を出し、休憩中も注意をし(これは6回に含まれないという)、(朝日新聞より)外国語の試験でも注意とあるので一日中従わなかったことになります。6回目の注意時には「次の注意で無効になる」と伝えたので、失格の対処としては全く問題はないのですが、6回も注意をするのはおかしいと思います。記事では、注意したが応じなかったとあるので、鼻を覆う仕草もせず無視したということ、つまり「キ 試験場において監督者等の指示に従わないこと。」で、3回目で失格を告げられるはずです。まさか、「マスクの注意は6回までとする」なんて記載はないでしょう。慎重に失格を決断するのと、何回も注意するのは異なります。「マスクを正しくする」が不正行為に含まれていなくても

1回目「マスクを正しくして下さい。」(指示なのでノーカウント)→無視

2回目「マスクを正しくして下さい。」(指示に従わないとして注意1回目)→無視

3回目「失格です。」(注意に従わないとして失格)

が適切な対処かと思います。

 監督者はマニュアルに則って粛々と対応することが求められるのであり、「何回も何回も注意したのに守らなかった」というのは、却って感情的な対応のイメージを抱かれかねません。違う監督者なら4回の注意で失格だったとか、そういう監督者の性格は要らない訳です。今回のも、6回注意というのが事態を大きくしているように思います。「マスクの正しい着用を指示したが、従わなかったため失格となった」というニュースなら、ここまで話題にならなかったのではないでしょうか。何より、指示に従わない(突っ張った態度をとり続ける)人(受験生の資格はない)を何時までも居座らせることは、周りの受験生に迷惑なのは明らかです。周りの受験生のためにも、3回目の注意で、そもそも1時間目の試験中に失格を言い渡すべきだったと思います。

 

 

チャウコン

意見
chaukonをフォローする
チャウコンの彼女のブログ

コメント

タイトルとURLをコピーしました