依頼




私が出版社勤務なのを知っているからなのか、「小説を書いたんで、読んでくれませんか?」と言う人がいる。



その人の意図を推測してみると、恐らく「私が小説の評価を出来ると思い見てもらって感想が欲しい」か「私の評価能力など気にせず編集者なら本が好きそうだろうから読んで欲しい」のどちらかだ。その人なりに私とコミュニケーションを取ろうとしていることも幾らか含まれるのかもしれない。



(私自身、小説は(小説も)多くは読まないので自信がないことを前提とするが)前者の私からの評価が欲しいのであれば、偶然知り合ったからと言って編集者に個人的に作品を読ませるのはどうかと思うし、後者のただ読んで欲しいのであれば、私である必要はない。



気になるものを読みたい時に読むのであって、読んで欲しいと向こうの都合で言われても読みたいとは思わない。それだけである。私が捻くれているのもあるが、知人の「おすすめの本」はまず読まない。



話を聞いてみれば、聞いてもいないおすすめの本や話題のミステリー小説のネタバレ、難しい小説を読むことに意義を感じてはライトノベルは作品ではないなど、デリカシーのないことを言う。



私は、自身の個性や能力になることを望んで本を(特に小説を)選ぶ人と本に関して気が合うとは思わない。抑も、太宰治を読んでも太宰治要素は読者に浸透しないはずだ。



取り敢えず、私は「面白かったらつまらない、つまらなかったら面白いと言うことにします。ただ、そうする確率は51%で、そうしない確率は49%です」と言った。



私は一切読まずに翌日「つまらなかった」と伝えた。

小説
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