海と川


大学生になる頃には、海から逸れて川になっていた。



大学生活を経て就職時には漸く海に戻れると思った。願った。そのために出来ることをした。



狭まる川幅に気付いては、枯れ果てぬように命を繋いだ。



何とか海を見つけた。



川の自分は海と混ざることだけを目標に動いた。



海と交わる直前、私はそれまでの自分に思いを馳せて目を瞑っていたのだろう。私の悪い癖だ。



目を開けた私は川幅の広い方を海だと思い、その道を選んだ。楽になりたい。同じラインの立ちたい。それが全てだった。



その道は海ではなく、また別の川だった。



水が通ったことのない、木の棒で描かれたその道は、進めば進む程に私の水を奪い、勢いを殺していく。



振り返れば、大学生活の川は今よりも太く、勢いがあったことに気付いた。川だと思っていたそれは、小さくとも海だったと知った。



途絶えつつある川で、遠くに見える海が更に遠くになるのを目にして、夢にまで見たその海に溺れるかのように私は意識を手放した。

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