【子ども向け?】現役編集者が『君たちはどう生きるか』が面白くない理由を考えてみた【あらすじ】

ジブリで映画化された『君たちはどう生きるか』 ジブリから映画化されました(2023年7月14日)。

名著と名高い吉野原三郎『君たちはどう生きるか』は2017年にマガジンハウスで漫画化され、池上彰氏の帯コメントも相まって一年で200万部ほど売れた。公益社団法人日本PTA全国協議会の推薦も受けているとのこと。イラストは羽賀翔一氏が担当した。因みに初出の小説は新潮社で、著者の吉野原三郎自身は岩波書店の社員(雑誌『世界』の初代編集者)。

ボクは友人の部屋で漫画版を、その後小説版も読んだ。

Amazonのレビューなどを拝見すると、批判的なコメントも多い。それらのコメントは一言で表せば「内容が薄い」といったところだろうか。

本当に内容が薄いかどうかの判断はし兼ねるが、ボクが思うに題名『君たちはどう生きるか』に内容が対応していない(対応しきれていない)のが原因のように思う。特に、ベストセラーとなった漫画版はその印象を強く感じた。要するに題名が重すぎるのだ。

さて、多くの人はその重すぎる題名に惹かれてこの本を手に取ったと思う。ボクも勧められた訳でもなく(そもそも人に勧めるのも勧められるのも好きではない)、題名とその話題性に惹かれて友人の書棚から取った。なぜ惹かれるのかといえば、題名の通りで、「どう生きたらよいのか」が分からない、自信がない人が多い(というか大半だ)からであり、それに答えを求めてこの本を開く。

ただ残念ながら漫画版にその答えは書かれてないと思う。ボクは小説版まで読んで理解はできた(なので漫画版だけを読んで理解し絶賛している人はボクより読解力があると思う)。

閑話休題

「なんのために生きているのか分からない」というのは、思春期を経た人間が経験する問題であり、その問題を解いた気になったり、解けなかったり、逃げたりして大人になり、

君たちはどう生きるか「ご無沙汰しております」

大人「」

という、まるで追試を課せられた気分になる。

だから「今なら解けそうかも」と思って本書を手に取る。

さて、ボクは吉野原三郎を詳しく調べたことはないし、正直これ以上の関心も湧かないと思うので、『君たちはどう生きるか』で答えを得られなかった人のために、僭越ながらボクなりの答えを出したいと思う。それは、

「君はなぜ死なないのか」
である。

これは「君たちはどう生きるか」の言い換えであり、かつて解けなかった問題の類題である。追試なので易しめにした。重すぎた「君たちはどう生きるか」のダイエット版が「君はなぜ死なないのか」だ。

「君たち」よりも「君」に限定した方が良いのは言うまでもない。個人の生き方を問うているのに、両隣に誰かが立っていては考えも窮屈になってしまう。

そして「死」は残酷な言葉であるが、「どうやって生きるか」という生[正]が強制[矯正]された問いよりも、優しく感じるはずだ。優等生としての解答を期待されない方が、ボクのような優等生でない人にとって答えやすいし、当の優等生だって肩の力を抜いて答えられる。無理やり上を向けさせられて息苦しくなるよりも、今立っている地面が何でできているのかを考えた方が楽だ。

この本、このブログを読んでいる時点であなたは今生きている訳で、既に「なぜ死なないのか」という問いに半分は答えられている。追追試は避けられそうだ。

チャウコン



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