【令和5年度】予備試験の一般教養の和歌問題を国語教材の編集者が解いてみた【難問】


 


こんにちは。チャウコンです。


こんな話題が回ってきたので、見てみます。








まず一言、難しい笑

早速考えていきます。


枕詞「むばたまの」なので、黒・髪・夜・月・夢などが続きます。

真っ黒なヒオウギの種(ぬばたま・むばたま)が、由来です。

まちの植物はともだち←こちらの記事で大変分かりやすく説明されています。

ポイントは、黒を核にして訳が派生していくイメージで、黒→夜→夢という風に連想ゲームが起きていることです。一気に黒→夢は、流石に連想できませんからね笑

なので、

夜(又は髪)だけ覚えている人が多いようですが、一つだけ覚えるなら、オススメは黒です。

 

さて、実際の解き方ですが、

和歌の内容から上記の候補(黒・髪・夜・月・夢)を当てはめていくのが一般的な解き方だと思います。

ちなみに、普段和歌に触れている人間でも、3と4の和歌はあまり見ないので一発では選べません笑(たぶん)

多数派に何が当てはまるのかを決めてから、それが当てはまらないものを選べば良いと思います(ワードウルフのように)。

1の「(空欄A)はすがらに」や、2の「時」や、5の「(空欄A)をへて」(時の表現)から、「夜」が推測できるかと思います。

というのも、「むばたまの」に続く語句(黒・髪・夜・月・夢)のうち、“時”に関するのは「夜」だけだからです。どれか二つを確定できれば多数派として決め打ちできます。

もちろん、2の「(空欄A)の衣…着る」から、夜の衣=寝間着と分かれば早いです。

ちなみに、2の「夜の衣をかへす」というのは、寝間着を裏返して着て寝ることで、そうすると想い人に夢で逢えるという当時の慣習から来ています。ロマンチックですね。

そこで、夜を当てはめていくのですが、3と4が分かりにくい気がします(この辺は人によりけりです)。丁度、メジャーではない和歌なのも一致していますね。

では、夜以外に何が当てはまるのかを考えると、3に「うつつ」とあるので、「うつつ(現実)」のよくある対比から「夢」が当てはまると分かり、正解は3です。

また、うつつと夢の対比を知らなくても、副助詞「(うつつに)だに」(類推)とあるのに注目して、

「(現実)でさえ会っても満足しないのに、(空欄A)で見ても〔会っても〕慰められるものではない」

という解釈ができれば、対比の構造が明らかになると思います。

どう見ても、現実と夜では対比にならないので、夜以外が当てはまる3が正解だと分かります。

 

問題的に、「むばたまの」がポイントのように見えますが、この「うつつ」と「夢」の対比が一番のポイントなのかなと思います。

そう考えると、知識としては「むばたまの」だけで解ける(考え深い、という意味で)良問なのかもしれませんが、司法試験で問われるのは勘弁してほしいのも分かります笑

 

受験生のみなさん、頑張ってください!

 

参考までに、空欄が埋まった元の和歌と出典です。

1.恋ひ死ねと するわざならし むばたまの 夜はすがらに 夢に見えつつ  【よみひと知らず】(古今和歌集)

2.いとせめて 恋しき時は むば玉の 夜の衣を 返してぞ着る 【小野小町】(古今和歌集)

3.うばたまの 夢になにかは なぐさまむ うつつにだにも あかぬ心を 【清原深養父】(古今和歌集)

4.むはたまの よるはこひしき 人にあひて いとをもよれは あふとやは見ぬ 【凡河内躬恒】(拾遺和歌集)

5.むばたまの 夜をへて氷る 原の池は 春とともにや 波もたつべき 【藤原孝善】(後拾遺和歌集)

 

それでは!

提供者のMASAYA様、ありがとうございます。

 

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